Barでの出会い
投稿者:AKI安希
2012/3/26(月) 20:01:27 No.7559
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或る日。 「カクテルを目の前で作ってくれるバーに行ってみたいっ」 と、自分の憧れを言ってみた。
しかし、 特にお酒が好きなワケでもなく、すでにバーに行った経験のある旦那の返答は
「いってらっしゃ〜い」 と、にべもない。
人見知りする私が、ひとりでなど行けるはずがない。
そうタカをくくられているのが悔しくて。
旦那の財布から少し拝借して、 ……来てしまった。
何が何やらわからないまま、とりあえずカウンターに座り、オーダー。
「柑橘類かパイナップルを使った炭酸のないカクテル」
そんな曖昧なオーダーにも、 マスターらしき男性は快く微笑み、作ってくれた。
美味しい美味しいと飲みながら、
いつの間にかマスターに 「旦那に軽くあしらわれた」 と愚痴をこぼしていたが、やさしく聞いてくれて。
次のカクテルが差し出された。
「こちらのお客様からです」
マスターの手の方向を見れば、 知らぬうちに隣の席に男性が座っていた。
「たぶんそれも好きな味じゃないかなと思って」
ひとりでバーで酔えばオトコがご馳走してくれる?
そんなベタな展開(笑)
「旦那さんのことは忘れて、楽しく飲んでくれたらうれしいな」
遠慮するものの……、 緩やかな押しに負けて、差し出されたカクテルに手をのばす。
「美味しい」 「でしょ?」
お酒のチカラか、久しぶりの旦那以外の男性とのコミュニケーションのせいか、 気分良く過ごし……。
お会計の段になると、すべて男性の支払いになってしまった。
それはさすがに気が引ける。
狼狽して支払おうとしたが、
「もっと話していたいし…この後もちょっと散歩に付き合ってよ? お話し代ってことでどう?」
どう、じゃない。 支払ってもらわなくても話くらいして構わない。
言ってもそこは聞いてくれない強引さに、また負ける。
それほど酔った気はしていなかったが、 歩くと足元がふわついた。
「車道に飛び出さないでよ」 わずかに笑みを見せて男性が私の肘をそっと引く。
「だぁいじょうぶですよぉ」
「歩きながらはちょっと危ないかなぁ。どこか座ろうか」
上機嫌で世間話をしながら、 着いた先は……ご休憩室(笑)
フラフラついてきた自分にハタと気付く。
「え…と、あのっ…」 あわてて振り向くと、男性の胸に思いきり鼻をぶつけて。
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