さんぽ
投稿者:じだ
2010/7/6(火) 1:51:06 No.3249
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街灯の明かりに照らされた6車線の大通りが静まり返っていた。 どこまでも続く、歩道に沿って生い茂る銀杏並木。 イチョウの木を琥珀色にライトアップしていた照明も、この時間はもう消されていた。 日中は時間に追われ、忙しないサラリーマンやOLたちのごった返すこの街が、今はまばらに通るタクシーのライトがやけに眩しく感じるだけだった。
コツッ… コツッ… コツッ… コツッ… ヒールの高いサンダルの足音が、ビルの壁に響いてとても淫靡な音色にきこえていた。 淡いブルーのワンピースの裾がひらひらと揺れうごく。 ひき締まった膝から美しいふくらはぎのカーブをへて、細い足首。艶のある、しなやかな脚を覗かせている。 岳雄はじっとその脚を眺めていた。
「……なに? 沙奈のあたらしいサンダル、似合わないかな…」
「似合ってるよ……。」
静寂した街を、言葉少なに歩いているふたり。 時折、ふたりを通り過ぎる乗用車のテールランプが赤く光り、減速する。 車の中の男が何か珍しいものでも見るかのように、しばらく停止して、そして排気音と共に去ってゆく。 ふたりの姿が奇妙に見えるのかもしれない。
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